年末年始は家族が集まり、将来の話題を共有しやすい時期です。実家の管理状況や親御さんの体調、財産の整理状況に触れ、「そろそろ準備が必要かもしれない」と感じることもあるのではないでしょうか。本稿では、終活や遺言の重要性について、実際の相続手続きで必要となる工程を踏まえて整理します。
1. 年末年始は将来の話をしやすい時期です
帰省中に気づく変化には、相続を考えるヒントが含まれています。
- 財産の所在が曖昧になっている
- 通帳や書類の保管場所が不明
- 医療や介護について話題が出た
こうした気づきは、終活の整理へ進む大切な一歩となります。
2. 遺言の有無で、相続手続の負担は大きく変わります
- 遺言書がある場合
- 遺言内容に従って財産を分けられる
- 金融機関で相続人全員の印鑑証明が不要
- 不動産の名義変更も、遺言書を添付することで可能
→ 相続人同士で協議を行う必要がなく、手続きが短期間でまとまります。
- 遺言書がない場合
- 相続人全員で遺産分割協議が必要
- 協議書には全員の署名・実印・印鑑証明が必須
- 兄弟姉妹が相続人となる場合は連絡調整が長期化
→ 実務では、遺言の有無によって負担の差がはっきり現れます。
3. 財産目録の重要性 ― 特に不動産以外の整理が不可欠です
- 不動産は自治体の台帳で把握しやすい
不動産は、市町村で管理される一覧(名寄せ情報)を取得することで、所在を確認できます。 - 預貯金・保険・証券は一覧がなければ把握できない
一方で、預貯金・保険・証券・投資信託などは、
亡くなる方が一覧を残していない限り、相続人が所在を把握することは困難です。
実務では、- 複数の銀行に口座が散らばっている
- 保険会社の加入状況が不明
- 証券会社の取引が複数に分かれている
といったケースが頻繁にあります。
→ 財産目録を作ることは、終活で最も効果が大きい準備の一つです。
- 金融機関を地元に集約するメリット
手続をスムーズに進めるためには、金融機関の整理も重要です。- 遠方の金融機関への照会は返答までに数週間
- 地元の金融機関であれば比較的短期間で処理が完了
→ 口座が複数へ分散しているほど、相続手続は長期化します。
終活の段階で、可能な範囲で金融機関を見直し、地元の窓口へ集約しておくことは、相続人の大きな負担軽減につながります。
4. 相続発生後の手続きは、想像以上に時間がかかります
- 戸籍の収集
相続手続きを進めるには、被相続人の出生から死亡までの戸籍が必要です。- 1通の郵送請求なら数日〜1〜2週間
- ただし複数自治体へ請求する場合は郵送往復が重なり、
→ すべて揃うまで、1か月程度かかる場合があります
- 金融機関の手続き
相続人が多い場合、書類の取りまとめに時間がかかり、押印・郵送の往復で数週間になることがあります。 - 不動産の名義変更
協議書の不備による差し戻しも珍しくなく、再作成が必要になることもあります。
→ このように、相続手続きは複数の工程が積み重なるため、想像以上に時間と労力を要します。
5. 行政書士ができるサポート
- 公正証書遺言の作成支援(証人手配・公証役場調整)
- 財産目録の整理
- 相続人調査、戸籍収集
- 金融機関や不動産の相続手続サポート
専門家が入ることで、手続きの漏れを防ぎ、負担を大きく減らすことができます。
6.まとめ:年末年始は準備を始める絶好の機会です
相続や終活は後回しにすると家族が困るテーマですが、早めの備えによって負担は大きく軽減できます。年末年始という時間をきっかけに、ご家族で今後のことを話し合い、できる部分から整理を進めてみてはいかがでしょうか。
