開業のお知らせ
2023年8月10日に開業いたしました。
これからも末永くよろしくお願いいたします。
相続土地国庫帰属制度とは
1. 相続土地国庫帰属制度
- 制度の内容
相続等によって土地の所有権を取得した相続人が、法務大臣の承認により、土地を手放して国庫に帰属されることを可能にする制度(令和5年4月27日施行)。
端的に言うと「相続した利用しない土地を手放す制度」。
- 制度目的
本制度は「所有者不明土地の解消」が目的。
所有者不明土地は、土地の所有者の特定に多大な時間と費用が必要となり、公共事業や復旧・復興事業が円滑に進まず、民間取引や土地活用の阻害要因となったり、土地が管理されず放置され、隣接する土地に悪影響が生じたりするなど様々な問題が生じている。
この所有不明土地を生じさせないための制度の一つである。
2. 本制度の最大のメリット
相続等によって取得した土地のうち、不要としている土地だけを処分することができる。
従来の相続放棄では、相続財産全部を放棄するしかなく、不要な土地だけを放棄する手段がなかった。以下、相続した土地を手放す従来の方法と比較する。
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本帰属制度 |
相続放棄 |
国や地方公共団体等への寄附 |
民間売買 |
メリット |
・一筆の土地単位で処分が可能 |
・裁判所の手続きが安い |
・負担金のような金銭を支払う必要がない |
・売買代金を得ることができる |
・国が引き取るため基準が明確 |
・相続人一人でも手続き可能 |
・身近な自治体等に土地を任せられる |
・共有者がいても、自分の持ち分のみ売却可能 |
デメリット |
・相当額の負担金を支払うことが必要 |
・全ての財産を放棄することになる |
・寄附を受けてもらえる相手を探すのが困難 |
・購入相手を探すのが困難 |
・共有者がいる場合は全員で共同申請 |
・相続放棄できる期間の制限がある |
・寄附を受ける基準が相手によって異なる |
・売買のための条件等を交渉する必要がある |
(法務省資料参照)
3. 売れない土地を相続することで起こるデメリット
- 固定資産税を払い続けなければならない
- 土地の管理責任は避けられない
土地の所有者として管理責任を免れることはできない。よって、年に数回は土地を見に行って手入れする必要がある。
土地は定期的に管理をしなければ雑草が生え、荒地となる。そのまま放置すると伸び続けた雑草が周辺の土地に侵入してしまう可能性が生じたり、土地にゴミが投棄されたり、放火されたりする危険性も考えられる。
- 損害賠償責任が発生する可能性がある
土地の管理責任が生じるということは、その土地で起こるトラブルに対しても責任を負う可能性がある。
民法709条(不法行為による損害賠償責任)または場合によっては民法717条(土地の工作物等の占有者及び所有者の責任)。民法717条の適用があると土地所有者は無過失責任と解されているため自己の責任を免れることが困難となる。
- 次世代まで問題が続く!!(最大の問題点)
所有権を持つ土地は、必要がないからと言って所有権を放棄することはできません。そのため、手放さない限り死ぬまで持ち続けることになる。
売れない土地を持ち続けた結果、自分の死後は子供や孫が相続することになる。
今、売れない土地はこれから先の未来で人気が出るとは考えにくい。結果、相続した子供たちは自分と同じように売れない土地に悩むことになる。
家電や自動車、建物は不要になれば廃棄して処分すればこの世から存在しなくなる。しかし、土地は不要になっても廃棄できず、そこに存在し続け、手放さない限りその負担は延々と受け継がれ、その悩みも引き継がれることになる。