コラム
22.相続手続き、まず最初にやるべきこと6選~慌てないために知っておきたい基本の流れ~(2025年7月)
- 遺言書の有無を確認する
まず最初に確認すべきは、遺言書の存在です。
遺言書があるかないかで、相続の流れは大きく変わります。
- 公正証書遺言は、公証役場での検索が可能
- 自筆証書遺言が見つかった場合は、勝手に開封せず、家庭裁判所での検認手続きが必要(法務局保管の場合は不要)
早い段階で遺言書を確認することで、手続きの方針が明確になります。
- 相続人の調査と戸籍の収集
被相続人(亡くなられた方)の出生から死亡までの戸籍謄本一式、相続人全員の戸籍や住民票が必要です。
現在は、戸籍の広域交付制度により、相続人本人であれば、全国どこの本籍の戸籍でも、
最寄りの市区町村で取得可能です(令和6年3月開始)。
転籍歴があると複数の自治体に請求が必要なこともあるため、早めの対応が大切です。
- 法定相続情報一覧図の作成
法定相続情報一覧図は、被相続人と相続人の関係を図式化し、法務局の認証を受けた書類です。
これを使えば、戸籍一式を提出する代わりに、金融機関や登記手続きを効率よく進めることができます。
一覧図がないと、その都度戸籍一式を提出する必要があり、非常に非効率です。
- 財産の調査と把握
相続財産の調査には、預貯金・不動産・借入金など、プラスもマイナスも含まれます。
- 預貯金:各金融機関に残高証明書を請求
- 不動産:市役所税務課で名寄帳・評価証明書を取得
- 負債:借入・カード・保証債務などを確認
固定資産税がかからない不動産もあるため、名寄帳による調査が大切です。
また、相続放棄や限定承認を検討する場合は、相続を知ってから3か月以内に家庭裁判所への申述が必要です。
- 遺産分割協議と協議書の作成
相続人全員で遺産分割協議を行い、その内容を文書化します(遺産分割協議書)。
協議書には、相続人全員の実印と印鑑証明書が必要です。
協議書がなければ、預金や不動産の名義変更手続きができません。
また、相続税の申告が必要な場合、10か月以内に手続きする必要があり、
分割内容が確定している(=登記済みなど)ことが求められます。
- 名義変更の手続き(金融資産・不動産)
- 金融資産:預貯金や証券・保険の名義変更には戸籍一式・協議書などが必要ですが、
法定相続情報一覧図があれば、戸籍提出を省略でき、複数機関での手続きが効率化されます。
- 不動産:相続登記(法務局での名義変更)は、令和6年4月から義務化されています。
相続開始を知ってから3年以内に登記を行わなければ、過料の対象になる可能性があります。
- まとめ
相続は「何から始めたらよいか分からない」と感じがちですが、6つのステップを押さえておくことで、
手続きの流れをスムーズに進めることができます。
当事務所では、戸籍取得・一覧図作成・協議書作成・税理士や司法書士との連携を通じ、
相続手続きを総合的にサポートいたします。
まずはお気軽にご相談ください。