終活というと断捨離や葬儀・墓地の手配、遺言書作成などを行うことをいうのではないでしょうか?
しかし、自分の思わぬところにやり残したことはないでしょうか?
今月のコラムはそんなお話です。
- 思わぬものの存在
遺言書作成の依頼を受けて、作業をしていると依頼人にも思いもよらぬものが見つかることがあります。それは、①忘れていた預貯金、②忘れていた登記、③忘れて去られていた不動産などです。 - ①忘れていた預貯金とは
財産目録作成のため、各金融機関に残高証明書の発行を依頼すると出てきた残高証明書に依頼人にも見覚えのない口座が出てくることがあります。出てきた口座に残高があればいいのですが、残高が無いものもあります。また、金融機関に念のためと思って残高証明書の請求をすると自分の把握していなかった口座が存在することが判明することがあります。
では、残高が無い、若しくは、少額の口座を後世に残すべきでしょうか?むしろ、終活の一環として解約して、残高のある口座のみを相続させるべきではないでしょうか?
このように、口座の整理も終活の一環として生前に行われてはいかがでしょうか? - ②忘れていた登記とは
依頼人の不動産を調査しているとすでに現在は存在しない建物の登記だけが残っていることがあります。依頼人以外の名義ならまだしも、依頼人自身が登記名義人となっている場合もあります。これには二通りのパターンがあります。一つ目は、先代から相続した時に、現況が無くとも、そのまま相続登記のみを行った場合です。もう一つは、依頼人が以前は所有していたのですが、使わなくなったので建物を解体して、登記の手続きをしなかった場合です。
登記のある建物を壊した場合、法務局に滅失登記といって、建物の登記を削除してもらう必要があります。これは、土地家屋調査士の業務となっております。
滅失登記をしていない建物の登記が存在することが業務の上で、度々見受けられることですが、中には抵当権などの担保権が登記に残っていることもあります。
終活の一環として、自己の財産をきちんと登記に反映されてはいかがでしょうか? - ③忘れ去られていた不動産
忘れ去られていた不動産とは、何代も前の血縁者の不動産が存在することです。遺言書作成の依頼を受けて、財産目録作成のため、依頼人の財産の調査をしていると、登記に依頼人の血縁者の名義と思われる不動産を見つけることがありました。登記の表示の仕方からして、おそらく、戦前から存在するものだと推察されます。また、依頼人と苗字が同じなので、何らかの血縁者ではないかという予想がたちます。この場合、戦前ですと、「家督相続」といって、現在とは異なり、遺産分割などせず、登記名義人が一身に相続財産を先代から取得しているものです。
しかし、そうとは限らない場合もあるはずです。その場合、登記名義人の相続人を特定して、遺産分割などの手続きをする必要があります。もちろん、先送りにしてしまうと、相続人の数は増えていき、不動産の登記名義を変更することはますます困難になってしまいます。
このような問題は、先送りにせず、終活の一環として処理してみてはいかがでしょうか? - 終活における遺言書作成
以上の①から③までのことは、第三者に依頼したからこそ、明るみに出たことだと思います。一人で、終活するより、第三者を入れて、自分とは違った目線で相続させる財産を見てもらうことも必要ではないかと思います。
当事務所では、遺言書作成の際に、相続人を調べ、財産目録を作成します。財産目録作成の中で、このコラムにあるような依頼人にも思いもよらなかったことが発見されることもあります。その上で、当事務所に依頼をされたからこそ、問題を後世に残さず、解決されることがあります。
終活の一環として、遺言書を作ろうとお考えの方は、当事務所を活用することもご検討してみてはいかがでしょうか?