コラム

35.「相続手続は誰に依頼しても同じではありません」(2026年8月)

1. 相続手続の相談先は増えています

ご家族が亡くなった後、相続手続をどこへ相談すればよいのか分からないという方は少なくありません。

近年では、行政書士や司法書士などの士業事務所だけでなく、金融機関、葬儀会社、相続関連サービス会社など、さまざまな窓口で相続に関する案内が行われています。

そのため、相続が発生した際に紹介された窓口へそのまま相談する方も多いでしょう。

もちろん、紹介された相談先が悪いというわけではありません。

しかし、相続手続の相談先は一つではありません。

まず知っていただきたいのは、「相続手続の相談先は自分で選ぶことができる」ということです。

2. 相続は葬儀と違い、考える時間があります

葬儀は、ご逝去後すぐに準備を進めなければなりません。

一方、相続手続は少し事情が異なります。

ご家族を亡くされた直後は、葬儀や法要などで慌ただしい日々が続きます。そのため、相続について本格的に考え始めるのは四十九日が過ぎてからという方も少なくありません。

預貯金の解約、不動産の名義変更、各種契約の変更手続など、相続にはさまざまな手続があります。

その際、最初に紹介された先だけでなく、他の相談先も比較してみることは決して無駄ではありません。

相続手続は人生で何度も経験するものではないからこそ、相談先を選ぶ時間を持つことも大切です。

3. 相続手続には専門家ごとの役割があります

相続手続には多くの種類があります。

戸籍の収集や金融機関の相続手続、不動産の名義変更、相続税申告など、それぞれ内容が異なります。

また、手続の内容によって担当する専門家も異なります。

行政書士、司法書士、税理士、弁護士など、それぞれ法律で定められた業務があります。

そのため、「相続手続」と一括りにしても、どの手続を依頼したいのかによって適した相談先は変わります。

例えば、預貯金の解約や戸籍収集を依頼したいのか、不動産の名義変更を行いたいのかによって、相談すべき専門家は異なります。

相続手続を依頼する際には、まず自分が何に困っているのか、どのような手続が必要なのかを整理しておくことで、適切な相談先を選びやすくなります。

相談先を選ぶ際は、費用だけでなく、どのような業務を依頼できるのかを確認することも大切です。

4. 相談先によって対応や進め方は異なります

相続手続の結果そのものは同じであっても、手続の進め方や対応には違いがあります。

面談方法、書類のやり取り、相談のしやすさ、説明の分かりやすさなど、依頼先によって特徴があります。

また、地域の事情や地元金融機関の手続に慣れている専門家もいます。

書類の受け渡しや追加資料の提出が必要になった場合、直接相談できる距離に事務所があることが安心につながることもあります。

相続手続では、一度のやり取りで終わるのではなく、戸籍の追加取得や金融機関からの補足資料の提出を求められることもあります。

どこが優れているということではなく、ご自身やご家族に合った相談先を選ぶことが大切です。

相続手続は一度依頼すると長期間に及ぶこともあります。

だからこそ、安心して相談できる相手かどうかも重要な判断材料になるでしょう。

5. 紹介された先だけが選択肢ではありません

相続が発生すると、さまざまな場面で相談先を紹介されることがあります。

しかし、その紹介先だけが選択肢ではありません。

相続手続を依頼する際は、
「他にどのような相談先があるのか」
「自分に合った相談先はどこか」
を一度考えてみることをおすすめします。

相続手続の相談先は自分で選ぶことができます。

紹介された先へそのまま依頼する前に、複数の選択肢があることを知っておくだけでも、より納得した形で手続を進めることにつながります。

相続手続は誰に依頼しても同じではありません。

ご自身やご家族に合った相談先を選ぶことも、相続手続の大切な一歩ではないでしょうか。