相続手続というと、「相続人同士で揉めるもの」というイメージを持たれる方も多いかもしれません。
しかし、実際のご相談では、「争いはないけれど、手続が大変で進まない」というケースも少なくありません。
最近は相続登記の義務化も始まり、「そろそろ名義変更をしなければ」と考える方も増えています。
一方で、「できるだけ費用を抑えたいので、自分で手続をしたい」という方もいらっしゃいます。
もちろん、ご自身で相続手続を行うこと自体は可能です。
ただ、実際には、想像以上に時間や手間がかかるケースも少なくありません。
今回は、相続手続を自分で進める場合の負担についてお話しします。
1. 戸籍等の収集だけでも大きな負担になることがあります
相続手続では、亡くなられた方の出生から死亡までの戸籍等を収集する必要があります。
以前は、本籍地ごとに戸籍を請求する必要がありましたが、最近は「広域交付制度」により、直系親族の戸籍等であれば、本籍地以外の市区町村でも取得できるようになっています。
以前に比べると便利になった部分もありますが、実際には、請求してから書類が交付されるまで時間がかかるケースもあります。
特に、広域交付では確認作業に時間を要する場合もあり、窓口の混雑状況によっては長時間待つこともあります。
また、最近は役所の窓口対応時間が短縮されている自治体もあり、仕事をしながら平日に何度も役所へ行くことが負担になる方も少なくありません。
そのため、郵送で戸籍等を請求される方も増えていますが、
- 申請書の記入
- 定額小為替の準備
- 本人確認書類の写しの同封
- 返信用封筒の準備
など、慣れていないと意外と手間がかかります。
特に「定額小為替」は、普段あまり使わない決済方法であるため、購入方法が分からず戸惑われる方もいます。
また、「法定相続情報一覧図」を利用することで、戸籍関係書類の代わりとして利用できる場面もありますが、その作成にも戸籍等の収集や相続関係の整理が必要になります。
さらに、本籍地の移転が多い場合には、追加で別の戸籍等を取得する必要が出てくることもあります。
「一度で終わると思っていたが、何度も手続を行うことになった」というケースも珍しくありません。
2. 平日に手続を行う負担
相続手続では、役所だけでなく、金融機関での手続も必要になります。
しかし、多くの役所や金融機関は平日の日中しか対応していません。
そのため、仕事をされている方の場合、休みを取って手続を行う必要があります。
また、金融機関によって必要書類や手続方法が異なることもあり、「別の銀行では再度書類を書き直す必要があった」というケースもあります。
書類の不備や記載ミスがあれば、再度窓口へ行かなければならないこともあります。
一見すると「自分でやれば費用を抑えられる」と思われがちですが、実際には何日も時間や手間がかかるケースもあります。
3. “時間の負担”も考える必要があります
相続手続では、「専門家へ依頼すると費用がかかる」という点が気になる方も多いと思います。
しかし、自分で手続を行う場合でも、時間的な負担は決して小さくありません。
たとえば、
- 必要書類を調べる
- 戸籍等の取得方法を確認する
- 役所や金融機関へ行く
- 書類の訂正や再提出を行う
といった作業には、かなりの時間がかかります。
また、「何を取得すればよいのか」「次に何をするのか」を調べながら進める必要もあります。
もちろん、一度経験すれば知識として残る部分もあります。
しかし、相続手続は何度も繰り返し行うものではないため、苦労して調べた知識を日常的に使う機会は多くありません。
そのため、「調べる時間や手間まで含めると、専門家へ依頼した方が負担が少なかった」と感じる方もいます。
4. 専門資格者へ直接相談するメリット
最近は、相続手続に関する様々なサービスを見かけるようになりました。
しかし、相続手続では、戸籍等の収集や遺産分割協議書の作成など、法律上、行政書士などの専門資格者が関与する場面もあります。
そのため、依頼内容によっては、最終的に行政書士や税理士などの専門資格者へ改めて依頼が必要になるケースもあります。
結果として、費用構造が分かりにくくなる場合もあるため、「実際に誰が対応するのか」を確認しておくことも大切です。
また、行政書士などの専門資格者は、国家資格者として登録を受け、行政書士会などの団体に所属しています。
一定の資格要件や倫理規程があるため、「誰に依頼しているのか」が分かりやすいという安心感もあります。
さらに、地元の専門家であれば、役所や金融機関への移動距離も比較的短く、必要な対応を迅速に行いやすいという利点があります。
「少し確認したいことがある」「追加で相談したいことが出てきた」という場合でも、相談しやすいという安心感があります。
5. 早めの相談が、結果的に負担を減らすこともあります
相続手続は、「時間がある時に少しずつ進めよう」と考えているうちに、何年も経過してしまうケースがあります。
その間に相続人が増え、さらに手続が複雑になることもあります。
手続を始める前に一度相談しておくだけでも、必要な流れや注意点を整理しやすくなります。
相続手続でお困りの際は、早めに専門家へ相談することも検討してみてください。
